気持ちを書くブログ

写真撮影、コンピュータが好きです。あと本とゲーム。落語も好き。おしゃべりも好き。

雨の日

あの日の情景、あの日の感情、それだけははっきり覚えている。

世界が違ってみえていた。

雨の日だった。僕は気にせず走っていた。

田舎道だったような気もする。

線路沿いを走っていた。

白い紙に包まれた何かを抱えていた。

紙は雨に濡れてビリビリに破れた。

中に何が入っていたのかわからない。

大切なものだったような気もするし、

どうでもいいものだったような気もする。

世界が浮ついていたような気がする

いまのコロナウイルス騒ぎと似ている

非日常を胸いっぱいに僕は抱えていた

家にたどり着いたとき、ありったけの水を飲んだ

水を飲むと言う行為がこれほど嬉しかったことはない

身体の中をカラフルな何かが満たしていった

世界がいつもと違った

悪い夢から覚めたときみたいに

世界が煌めいてみえた

それでいて退廃的だった

それなのに僕は満たされていた

僕は続けて走った

雨はやんでいた

知らない駅についた

どこへ向かうかもわからない駅

びしょ濡れで息を切らせる僕を

駅にいる人々が怪しげにみる

僕はどんなもんだと思った

僕が世界の中心にいた

僕だけが走っていた

誰も追いつけなかった

あの日はなんだったんだろう

あれはいつの日だったのか

僕の中のエネルギーが燃えているのがわかった

人間はエントロピーを増大させるマシーンだ

そんなことみんな忘れてしまう

鼓動も血流も電流も燃焼も、僕は意識してなかった

でもその時は確かに僕は燃えていた

あの日。思い出せないあの日。

でも、忘れられないあの感覚。